今日は、商法の名板貸続編です。 

 わが国の商法では、商号選定自由の原則がとられています(もちろん例外はありますよ)。 そこで商人は、自由に商号を選ぶことができるわけです。 とするならば、他人に対して、自己の商号を使用して営業をなすことを許諾することもできてよいはずで、このような名義貸与を、名板貸といいます。

 もっとも、このような場合に、取引相手は、当然に商号の使用を許諾した者が、営業主体であると誤認するはずでありまして、このような信頼を保護する必要があるわけです。
 
 そこで商法は、外観法理から、名板貸人は、営業主を誤認して取引をした相手方に対して、その取引によって生じた債務について、名義を借りた者と連帯して弁済する責任を負うとしています(14条)

 <名板貸人の責任の範囲について>
 ① 許諾の範囲との関係
 
 たとえば、ミシンの販売について名義の使用を許諾したところ、名義借人が、電気器具の購入販売を行ったとします。
 さて、名板貸人は、責任を負うでしょうか??


 
 答えは、ONです


 

 名板貸人に責任の本質は、外観法理です。 すなわち、外観・それに対する信頼・外観作出についての帰責性にあります。

 もし皆さんが、弟子が独立するというので、自分が営んでいるラーメン屋の商号を、使用することを許諾したとします。ところがそいつが、ラーメン屋をやるからということで許諾したにもかかわらず、できもしないケーキ屋に商号を使用して、3億円の債務をこしらえたとします。 皆さんその責任を負いますか??

 冗談じゃないよ オレは、ラーメン屋をやるというから、商号を許諾のだよ でしょう?

 ② 責任を負う債務の種類

 14条で生じる責任は、取引によって生じる債務に限定されます。 不法行為による損害賠償責任は含みません。

 たとえば名義借人が運転する車が、通行人をはねてしまいました。 はねられた被害者が、「 私は、名義貸人ははねたのだと信じていました 」 って、あります?? ないですよね。